原田広美『やさしさの夢療法』書評*by甲子園大学・安村直己from『「夢」を知るための116冊*リッキー・リビングストンから教わったゲシュタルト療法の夢のワーク
☆リッキー・リビングストンから教わったゲシュタルト療法の夢のワークの本
原田広美・著『やさしさの夢療法』書評2006年(甲子園大学・心理学科・安村直己)
本書の著者は、もとは高校教師をされていたが、職業アイデンティティに悩む中で、夢を用いたゲシュタルト療法(夢のワークやセラピー)に出会い、その後それを自らの人生に実践すべく、教師をやめられて、現在ゲシュタルトセラピストとして開業されている女性心理療法家である。
本書の校正は、そうした著者のパーソナルな人生の変遷が、著者自身の夢のワークやセラピー体験とともに自伝的に語られていく部分と、その後、セラピストとなってからであった多くの人々に、著者が夢のワークを行ったときの実例が紹介される部分、そして、ゲシュタルト療法についての著者のさまざまな技法(ホールネス・ワーク)を紹介した部分に分かれている。
著者自身の幼年期の体験、成人してからの人生の迷いや苦しみの体験、その頃に見たさまざまな夢との関連、そして、そこから得た自分自身への気づきと大きな決断へといたるプロセスは、まさにユングの言う個性化の過程のようにも感じられてくる。
著者が自分の夢に行っているワークでは、夢についての連想を自分自身で深めていく自己分析の手法もとられている。紹介される夢の中には長編の「キリスト像と関取の夢」など興味深いものが多く、評者は読んでいて大いに刺激され、著者の自己理解とはまた異なる連想を抱いたところもあった。
この辺りは、精神分析的に言えば、自己分析で生じる無意識的な抵抗の存在を見ることもできるかもしれないが、そこをゲシュタルト療法では、「知ること」よりもむしろ本人自身が「体験すること」の意義を重視し、夢の中の登場人物や事物になって感じることを通して、今ここでの体験の統合を促進し、結果的に意識と無意識のバランスの取れた状態を目指すのであろう。「体験」は、本人だけのものだからである。
著者が主催するワークショップに参加した人々の夢のワークの実例は、臨床的にも大いに参考になった。両親から特別に可愛がれレたことが他の姉妹からの嫉妬を買い、家族との葛藤が耐えられなくなって家を出た経験のあるDさんは、『幼年期に過ごした家が見えていて、孤独や淋しさを感じていたことを再体験し、同時に、自分にも高慢な面もあったことに気づいてゆく。
Eさんは「差し歯の夢」を見て、グラグラしている差し歯は、居場所が定まらずにいる自分のことだと感じ、自分が「差し歯」になってワークしてみると、意外と自信が持てている自分を見出してゆく。
これらのワークは「健全な自己愛」(自尊心)を育み、確かめていくことを目的としているように思われる。それは究極的には、すべてのセラピーの目標と言えるかもしれない。
ゲシュタルト療法の夢のワークを自らの人生に取り入れ、「夢」をまさに実現させて生きてこられた著者の証とも言える本である。
*『「夢」を知るための116冊』 創元社 p64~p65https://my79p.com/p/r/ATKkpOgZ
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